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神戸家庭裁判所 平成3年(少)828号・平3年(少)1300号・平3年(少)1356号

主文

少年を初等少年院(一般短期)に送致する。

理由

1. 非行事実

司法警察員作成の平成3年4月16日付け及び同年7月5日付け各少年事件送致書記載の犯罪事実(ニ)並びに同年同月3日付け少年事件送致書記載の犯罪事実のとおり。

2. 適用法令

傷害の事実につき 刑法204条、60条

窃盗の事実につき 刑法235条

暴力行為等処罰に関する法律違反の事実につき 同法1条

毒物及び劇物取締法違反の事実につき 同法3条の3、24条の3、刑法60条

3. 処遇の理由

本件は暴力行為等処罰に関する法律違反1件、傷害1件、窃盗1件、毒物及び劇物取締法違反2件の事案であるところ、各犯行の罪質、動機ないし目的、態様、結果及び性行(補導歴を含む)並びに両親の少年に対する指導監督能力等、殊に少年は尼崎市立○○中学校内ではA、B、C、Dと共に不良(番長)グループ第44代目「○○連合」を構成し、学生の本分をわきまえず、校則を無視し、怠学はもとより学内秩序を乱し、教師による指導の限界を越え勝ちな無軌道な行状をしていたものであること、性格は、自己中心的でかつ対人共感性(デリカシー)が未熟であり、従って第三者に対する不信感が強く、短絡的・即行的であるうえ粗暴であり、従って自制心に乏しく、意志薄弱であって、家庭においても両親の注意を無視し、直ぐにふてくさった態度を取り、反省自戒しようとしない傾向が認められること、シンナー吸引歴をみるに中学校1年生の冬休みから吸引し始め、2年生の夏2か月間と平成3年6月は中断したものの、その余の期間は大体週1、2回の割合で吸引し、多数回吸引した結果、総計数十回余に達しその間警察官に補導されたり、児童相談所に通告されたこともあったが、どうしても吸引を断ち切れず、シンナーに対する依存性(dependency of drugs)は精神的にも、肉体的にも極めて根強いといわざるを得ないこと、窃盗の事案も極めて悪質というほかなく、小遣い銭に窮した末、自転車に乗って走行中のEのズボン後ろポケットから少し財布がはみ出しているのを見付けるや、前記「○○連合」のDの自転車に同乗していたところ、「一緒に乗らすやなあ。」と声を掛けるや、前記Eの自転車後部に飛び乗り、前記財布を抜き取り、その後Dの自転車に乗り移り、「財布を返して」と求めるEを無視して逃走し、前記Cの家に逃げ込み、同所でBには、電子手帳1冊とテレホンカード1枚を、C、A、Dにもそれぞれテレホンカードを各1枚宛分与し、少年自身もテレホンカード1枚を領得したものの、その後Eが警察に被害届を提出したことを知るや、証拠いん滅工作の一端として自己が領得したテレホンカード1枚をCに預けたこと、なお附随的情状事実として前記のとおりEが被害届を提出したため、平成3年6月20日午前11時前ころ、Bが尼崎市立○○中学校教室においてEに対し、「お前警察にチクったやろ。」等と難くせをつけ、お礼参りの傷害の所為に及んだことが後日判明し、被害者Eはまさに踏んだり、蹴ったり同様の立場に追いやられていることが窺われること、最後の暴力行為等処罰に関する法律違反及び傷害の事案について言及するに、本案件は文字通り上級生の下級生いじめの典型的なものであり、その動機・目的は、被害者Fが上級生に対して敬意を払わず、生意気であるから懲らしめることと併せて、同人を第45代目「○○連合」の継承構成員に引き入れるため、いわゆるその通過儀式として暴行沙汰に及ぶ(いわゆる焼きを入れる)という成人の暴力団入所式まがいのものであったこと、先ずCがFに対して「2年生の分際で溜るな。」と言い掛りをつけたうえ、その暴行は5月15日は約2時間に及ぶ長時間、6月6日は約30分間に及ぶもので、「○○連合」所属の5人がそれぞれ執拗かつ強暴な暴行を入会を拒否するFに対して加えており、6月6日にはCは丸棒まで使用しているという残酷なものであり、6月6日FがBの隙をとらえ、駆け逃げたため、傷害の結果が前記判示程度にとどまったものと推察されるのであって、現にFは今逃げなければ殺されるという切迫した危機感すら抱いたこと、少年は5月15日Fに対して顔を5回位殴り、腹を10回位蹴りつけ、足を5回位蹴っており、6月6日には、同人に対し、顔を10回位殴り、腹を10回位殴ったり、蹴ったりし、足の太腿を5回位蹴る等の暴行に及んでいること、なお附言するに、少年は捜査官に対してEからの窃盗を発覚していないと思い込み否認供述に及んだり、当審判廷においても、深刻な反省の態度は全く見せず、終始投げやり的態度であったこと(demeanour-evidence)、両親及び学校数師の少年に対する指導能力が不充分であること、以上のほか一件記録から窺える諸般の諸事情を総合すると、少年の矯正を図るためには在宅処遇では到底至難であり、少年院に短期間でも収容して根強いシンナーに対する依存性の断絶及び短絡的粗暴性並びに卑劣な性格を直すことが必須であると判断し、主文掲記の保護処分に付した次第である。

よって少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項、少年院法2条2項を各適用して主文のとおり決定する。

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